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人間とコンピューターとメディアの接点をデザインするために考えたこと

【読書メモ】白井博士の未来のゲームデザイン

photo by Graphicso

重要なのはユニバーサルにすることでなく、実空間を使って、身体全体を使って、新しい身体感覚を重視し、言語や文化よりも重要な事を体感させるためのエンジニアリングを行うことなのです。

白井暁彦さんの、「白井博士の未来のゲームデザイン」を読みました。 副題は-エンターテインメントシステムの科学-となっています。

白井先生は、最近のOculusから始まるVRブームの前から、テクノロジーを利用したVRやエンターテインメントシステムに携わっている方で、 この本は、テクノロジーを活用したエンターテイメントシステムの歴史・定義から、具体的なエンジニアリングや展開手法までを幅広く取り扱っています。

書籍自体は2013年の発売なのですが、流行を超越した普遍的な内容として、読み応えがありました。 エンターテインメントシステムを多角的に捉えていて、各テーマは駆け足で紹介されているのですが、それが今の自分にはちょうどよかったです。

遊びの成立条件

第2章で、「遊びとは何か?」という定義から出発して、エンターテインメントシステムとは何かを考察しています。 歴史的な流れも含めて面白い内容だったのですが、必要な成立条件として以下を定めています。

ロジェ・カイヨワの定義を現代的に再定義したもの

  • 日常と隔離されていること
  • 非生産的な活動であること
  • 現実との区別、虚構の活動であること
  • 規則のある遊びであること
  • 未確定な要素があること

これかの要素から外れると、それは遊びではないと言えるのかもしれません。 普段手にしているスマートフォンの中のコンテンツの多くは遊びなのか、そうではないのか?考えさせられます。境界が曖昧になっているものも多いですね。

自分たちが作るものが、遊びなのか?そこをしっかり認識することは重要だなと思いました。

また、上記はシステムを使う側にとっての遊びとして考えると納得するのですが、システムを作る事自体を遊びとして捉えると、またちょっと定義が異なるのかなと思います。難しいですが

技術は人を幸せにするのか?

飽和しているテクノロジーの中から人々が動く、おもしろいとか使いたいと思うもの(こと)を取り出さなければならないのです。

現在、様々なテクノロジーが登場してまた、比較的早い段階で低価格で入手できるようになってきました。 Makerムーブメントや、Unityの登場、CGMなど盛り上がっています。

その中でどの要素を切り取るか、また多くの人に遊んでもらうシステムとして提供可能とするのか、ということを考える上でとても参考になりました。

多くの人に安心して楽しんでもらうには、必ずしも最新・最先端のテクノロジーを導入することが重要なのではなく、ある程度低価格で量産でき、 安定していて取り扱いがし易い(運用スタッフが不要or確保しやすい)事も重要です。

Oculus界隈やニコニコ技術クラスタの盛り上がりはとてもおもしろいですが、これらのパワーが上手く世界に発信でき、 ビジネスに繋がるものになっていくには、超えないと行けない壁がまだまだあるような気がします。

もう時間の問題かもしれませんが、全体的なプロデューサー視点できちんとマネジメントできるチーム・体制ができてくると大きくの伸びていけるかも知れません。

プロトタイプにおけるチェックリスト

システムを構築して人に遊んでもらうためのテスト時のチェックリストとして以下が記載されています。

プロトタイプにおけるチェックリスト

  1. メッセージ
  2. 振れ幅(リアリティー⇔ありえない)
  3. オチ(腑に落ちるか、納得できるか?)
  4. コスト、安定性
  5. 不快さ、違和感
  6. 社会的価値
  7. 個人的価値
  8. 2回見るか?
  9. タイトルとディテール
  10. ひとことで言える見どころがあるか?

今使える技術ありきで、組み立ててしまいがちなシステム(自分だけ?)において、他の人にも試してもらいながら、上記項目を洗練させていくのはとても重要だと思いました。 ほとんどちゃんとできていない。またメディアアートとして成立させるのであれば、そのコンテキストもしっかりと構築する必要があります。 この部分がなかなかトータルにコントロールするのはまだ力不足だなと感じています。

段階的マーケティング

同じく、システムを提供、ビジネスとしていくために必要な手順・プロセスとしても以下のフェースが解説されています。

段階的マーケティング

  1. Explore マーケットを探す、開拓する
  2. Reclamation 開墾する、
  3. Farm 種まきをする・育てる
  4. Harvest 収穫する
  5. Logitics どうやって届けるか?
  6. Deliverring パッケージング・プライシング

これらのことはエンターテインメントシステムだけに限った話ではなく、普遍的なマーケティングの手法なのですが、 当然これら全てにしっかり目を配ることが大事だなと再認識しました。

VR/メディア・アートの作成が誰でも作って、楽しめるようになりましたが(少なくとも、環境・コスト面で)ここから更に先に進むには さらにいろいろ学んだり、届けるための工夫をしっかりしないといけないなと改めて感じました。

一時的なブームで終わらずに次の時代にしっかりつながるものを、考えて作っていきたいです。

最後は小学生の読書感想文みたいになりましたが、以上が読書メモでした。

白井博士の未来のゲームデザイン -エンターテインメントシステムの科学-

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